最終更新日: 2026年11月6日

退院した当日から訪問看護を使えるかどうかは、保険の種類と、利用者さんの状態で決まります。介護保険の場合、退院・退所した日に訪問看護費を算定できるのは、特別管理加算の対象となる状態の方のほか、主治医が「退院した日に訪問看護が必要」と認めた場合です(厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1225・令和6年3月15日の問37)。医療保険の場合は、訪問看護指示書の交付を受けたうえで、退院日に訪問して在宅療養上の指導を行うと退院支援指導加算の対象になることがあります。

どちらの場合も、退院日の訪問は「退院が決まってから当日に頼む」と間に合いません。主治医・ケアマネジャー・訪問看護ステーションへ、退院日が決まった時点で伝えておくことが大切です。

退院日の訪問看護は、どんな人に必要とされているのか?

厚生労働省の審議会資料(社会保障審議会・介護給付費分科会 第189回・2020年10月22日・資料2)には、2019年度に行われた調査(介護保険の訪問看護の利用者が対象)から、退院当日に訪問が必要だった利用者の状況がまとめられています。

  • 入院の理由になった病気は、末期がんが15.5%、呼吸器の病気が14.0%(対象478人)
  • 処置や医療機器の管理が必要な状態は、服薬援助が45.0%、心理的支援が30.8%(複数回答)
  • 介護の状況は、「介護できる人はいない」という利用者が23.4%

退院当日は、病院で見守られていた生活から、自宅での生活へ切り替わる日です。薬の管理や急な体調の変化への不安が、ご本人にもご家族にも重なります。退院日の訪問看護は、その最初の一日に看護師が自宅の様子を確認し、困りごとを減らすためのものです。

介護保険で退院日に訪問看護を使える条件は?

介護保険で訪問看護を使っている(これから使う)方が退院した日に訪問看護費を算定できるのは、次のどちらかの場合です。

  • 特別管理加算の対象となる状態にある
  • 主治医が、退院・退所した日に訪問看護が必要だと認めた

後者は、厚生労働省の介護保険最新情報 Vol.1225(令和6年3月15日)の問37で、「特別管理加算の対象の状態である利用者のほか、主治の医師が退院・退所した日に訪問看護が必要であると認めた場合でよいか」という問いに「そのとおり」と答えられている内容です。2020年10月の前出の審議会資料の時点では、特別管理加算の対象者に限られていました。

特別管理加算の対象状態とは、たとえば気管カニューレの使用や在宅酸素療法など、国が定めた特別な医療的管理が必要な状態を指します。自分が当てはまるかどうかは、主治医か訪問看護ステーションに確認してください。

特別管理加算の対象でない方でも、主治医が必要と判断すれば対象になります(令和6年3月時点で示されている取扱いです。制度は改定で変わることがあるため、利用時は事業所に最新の扱いを確認してください)。「退院日に来てもらえるか」を主治医に相談することが、最初の一歩です。

医療保険で退院日に訪問看護を受けるとどうなる?

医療保険の訪問看護では、退院日の訪問は「退院支援指導加算」という形で評価されます(厚生労働省 保発0305第19号・令和8年3月5日。令和8年6月1日から適用)。算定の要点は次のとおりです。

  • 退院支援指導を要する利用者(医療的な管理が必要な状態として国が定めた「厚生労働大臣が定める状態等」にある方)が対象
  • 退院するにあたって、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、退院日に在宅での療養上必要な指導を行う
  • 退院時に訪問看護指示書の交付を受けている
  • 初日の訪問看護の実施日に1回だけ加算される

加算の額は通常6,000円です(令和8年厚生労働省告示第74号)。長時間の訪問を要する状態の方に対して、指導の時間(1回、または複数回の合計)が90分を超えた場合は8,400円です(いずれも医療費としての額)。実際の自己負担はこの1〜3割で、通常の6,000円なら600〜1,800円になります(負担割合により異なります)。

退院直後に週4日以上の頻回な訪問が必要な場合は、主治医が「特別訪問看護指示書」を交付できます。原則として月1回・14日間までです。要介護認定を受けている方でも、医療保険の対象になる病気や特別訪問看護指示書の期間は、医療保険の訪問看護が使われます。介護保険と医療保険のどちらになるかは、「介護保険と医療保険の訪問看護の違いは?」で整理しています。

退院日の訪問を頼むには、いつ・誰に何を伝えればよいのか?

日程が決まったら、次の順で伝えます。

  1. 主治医・病院の退院調整の担当者(看護師・相談員): 退院日に訪問看護が必要かを相談し、必要なら訪問看護指示書の交付を依頼する
  2. ケアマネジャー: 介護保険の方は、退院日に訪問看護を入れるケアプランの調整を依頼する
  3. 訪問看護ステーション: 退院日・自宅の状況・医療処置の有無を伝え、退院日の訪問が可能かを確認する

病院で開かれる退院前カンファレンスに訪問看護師が参加できると、退院前に自宅へ持ち帰る処置や薬の情報を直接共有できます。退院前カンファレンスから在宅移行までの流れは、「退院後の在宅移行と訪問看護」にまとめています。

退院日に訪問した訪問看護師は、何をするのか?

この日の訪問は、時間をかけてたくさんのケアを行うものではありません。自宅に着いたその日に、安全に過ごせる状態をつくることが中心です。

  • 自宅の環境(ベッドの位置・動線・医療機器や物品の置き場所)の確認
  • 体調の確認と、退院後最初の体の状態のアセスメント
  • 薬の確認と、飲み方・管理方法の説明(調査では、服薬の援助が必要な方が最も多い結果でした)
  • 緊急時の連絡先と、連絡が必要な状態の共有
  • ご本人・ご家族の不安の聞き取り

この日に見えた様子は、その後の訪問回数や内容を決める材料になります。

よくある質問

Q1. 退院日の翌日からでも、訪問看護は間に合いますか?

当日の訪問が必須というわけではありません。主治医が必要と認めず、かつ特別管理加算の対象状態でもない場合は、退院日の翌日以降が初回訪問になります。医療処置がある方や、体調の変化が心配な方、日中に一人で過ごす時間が長い方は、退院日の訪問を主治医に相談してください。

Q2. 退院日の訪問看護は、介護保険と医療保険のどちらで受けますか?

要介護認定を受けている方は原則として介護保険ですが、厚生労働大臣が定める病気の方や、特別訪問看護指示書が交付されている期間は医療保険になります。どちらで訪問するかは、利用者さんの状態と指示書の内容で決まりますので、主治医・ケアマネジャー・訪問看護ステーションに確認してください。

Q3. 退院日が急に決まりました。間に合いますか?

訪問看護ステーションの空き状況によります。決まった時点で、できるだけ早くケアマネジャーか訪問看護ステーションへ連絡してください。当日の訪問が難しい場合でも、翌日の初回訪問を調整できることがあります。

Q4. 退院日の訪問を断られることはありますか?

事業所の人員や時間帯によっては、退院日の訪問をお引き受けできないことがあります。複数の事業所に相談する場合は、退院日・自宅の状況・医療処置の内容を同じ形で伝えると、比較しやすくなります。

Q5. 自費のサービスや、訪問看護以外の訪問サービスで代わりになりますか?

訪問看護以外のサービスでは、看護師による体調の確認や医療処置、主治医への報告は原則として行えません。医療処置や服薬の管理が必要な方は、退院日の訪問看護を主治医とケアマネジャーに相談してください。訪問看護の対象にならない場合の代わりの方法は、ケアマネジャーや病院の相談員が一緒に考えてくれます。

この記事で参照した公的資料

  • 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1225「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」(令和6年3月15日)問37: PDF
  • 厚生労働省 社会保障審議会・介護給付費分科会 第189回(令和2年10月22日)資料2「訪問看護の報酬・基準について(検討の方向性)」: PDF
  • 厚生労働省 保発0305第19号「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日): PDF
  • 厚生労働省告示「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」の令和8年改正(令和8年告示第74号・令和8年6月1日適用): PDF

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