これから訪問看護事業所の開業を考えている皆さまへ、 オープニングスタッフの採用について解説していきます。
コチラからアンケートにお答え頂くことで オープニングスタッフ面接チェックシートを送付させていただきます。

訪問看護のオープニングスタッフ採用に関する基礎知識は、前回のコラムで紹介していますので、そちらも合わせてご覧ください。
【ノウハウ公開】訪問看護オープニングスタッフ採用①

今回のコラムでは、オープニングスタッフを採用するための成功への具体的な手順を5つのステップで解説します。
優れた人材を確保するための準備方法や、適切な人材を見極めるための判断基準と手法を学ぶことで、健全な事業所運営のための土台を築くことができます。

1.オープニングスタッフ採用の成功のための5つのステップ

オープニングスタッフに求めるビジョンの明確化

新しい事業や店舗のオープニングスタッフ採用に際して、最も重要なのは「ビジョンの明確化」です。
多くの組織が具体的なビジョンを持たずに採用活動を進めがちですが、どのようなサービスを提供し、地域社会でどんな役割を果たしたいのかを明確にすることが重要です。

ビジョンを明確にすることで、求める人材の特性や能力、オープニングスタッフに担ってほしい役割やどのような形で貢献して欲しいのかが具体的になります。そこで初めて、ペルソナの設定が可能になります。

ペルソナ設定には次のようなメリットがあります。

  • 採用基準に関する共通認識ができる
  • オープニングスタッフの視点で、自社の欠点を考えることができる

採用基準に関する共通認識ができる

採用を行う際、応募者に求める要件について、採用者側での共通認識が不足していると、本来求めている人材と異なるのに採用してしまったり、本来は採用したい人材を採用出来なかったりと、採用プロセスが機能不全に陥ります。
これは応募者が入職後に機能出来なかった場合に、「採用面接の際に期待していた印象と違った」という応募者に対する責任転嫁に繋がったり、「最初からそんなに期待していなかった」という教育担当者の無責任な態度を招き、教育プロセスが機能不全に陥る要因にもなり得ます。
採用は共に働く仲間を選ぶことであり、応募者の人生にも関わる重要な決定です。
そのため、事業者は採用したい人材に対する採用基準を明確にするためにも、十分な時間を取り、その過程を大切にするべきです。

オープニングスタッフの視点で、自社の欠点を考えることができる

採用を考えるとき、採用側の企業が理想の人材像を定義するのと同様に、応募者側も理想の企業像を定義します。
企業側が採用したいと強く思っても、応募者にとって魅力的な企業でなければ、応募者が内定を承諾してくれることはないでしょう。
ペルソナを設定することはこのような企業と応募者の双方向的な側面を考えたときにも有効で、採用する側にとっての採用基準が明確になると同時に、ペルソナとして設定した仮定のスタッフから見た、理想の職場環境を定義することが可能となります。
応募者の視点から自社を見つめ直すことで、これまで気づかなかった視点や改善点を発見するきっかけにもなります。

また、ペルソナ設定に際しての注意点があります。

  • 理想の人材を定義し過ぎないようにする
  • 採用可否の判断に先入観が介在することを防止する
  • 定期的な見直しを行う

理想の人材を定義し過ぎないようにする

ペルソナ設定にの陥りがちな誤りとしては、理想の人材像を追求し過ぎることです。
例えば、「精神科や小児科の経験があり、医療デバイスにも精通し、かつ訪問看護経験があるスタッフ」や「専門看護師の資格を持つ人材」などといった理想的な要素を重視しすぎると、実際に事業に適した人材を見落とす恐れがあります。
事業運営にとって不可欠な要素を現実的に定め、適切な人材設定を心がけましょう。
事業立ち上げに対する熱意、多様な状況への柔軟な対応力、基本的な医療知識があれば、オープニングスタッフとして十分です。

採用可否の判断に先入観が介在することを防止する

「◯◯なら◯◯のはずだ。」といった固定観念は、視野を狭めて優秀な人材を見落とす原因になります。
経験年数、性別、ライフスタイルなどの情報に基づいて、「経験が少ないから」「男性だから」「ママさんだから」といった形で人材を判断することは避け、情報はあくまで判断の一要素として扱い、先入観に捉われることを防止しましょう。

定期的な見直しを行う

設定したペルソナは、状況の変化によって必要な要素が変わる可能性があります。
事業所の規模、チームの状況、地域社会のニーズなどによってペルソナを更新することで、採用のミスマッチを防ぎます。
定期的な見直しを怠らず、常に最適な採用戦略を目指しましょう。

②ペルソナに基づいた人材が活躍できる環境づくり

ペルソナを設定した後は、その人材が活躍可能な環境を整えることが不可欠です。
採用した人材が事業所で長期間にわたって活躍できなければ、採用の意味がありません。
教育やチームビルディングにかかるコストを考慮すると、人材の流出は事業運営にとって大きな損失です。
ここでは細かい点には触れませんが、自社の状況だけでなく競合他社の環境も参考にしつつ、ペルソナに応じた就業環境、報酬体系、キャリアプラン、組織構造を構築することが重要です。

③経営者の熱意を伝える

①で定義したビジョンを、応募者に対して情熱を持って伝えることが大切です。
オープニングスタッフは、新規の事業や店舗を立ち上げる際に、その初動を支え、事業のスタートアップフェーズで最前線で活動し、初期段階での成功へと導くという重要な役割を果たします。
経営者の熱意に共感し、一緒に歩んでいくことができなければ、オープニングスタッフとしての役割を果たすことは難しいでしょう。
役割を担う可能性のある応募者に対しては、誠実に自身の思いを伝え、応募者の反応を見てその情熱を感じ取りましょう。
必ず、その反応から何かを感じ取ることができるはずです。

④ステーションで実現できること、実現できないことを提示する

②で構築した環境を基に、ステーションで具体的にできることや実現可能な目標を明確に示すことは、応募者が入職後のキャリアをイメージしやすくするために重要です。
このようなイメージが具体的になると、実際の採用にも繋がりやすくなります。
そしてそれよりも大切なのが、現状で実行不可能なことや達成不可能なこと、そしてやってもらわなければならない役割を明確に伝えることが重要です。
これを怠ると、入職後に「想像していたのと違う」「入職の目的に合わない」というミスマッチを引き起こすリスクがあります。

⑤オープニングスタッフに必要な熱意や柔軟性の確認する

採用プロセスにおいて、専門技術や経験を持つ候補者の発掘も重要ですが、オープニングスタッフには特に熱意や柔軟性が求められます。新たな変化に対応し、未知の状況に適応できる能力を見極めるため、具体的なシナリオを提示し、応募者の反応をチェックします。
また、質問への評価基準はあらかじめ設定しておくことが肝心ですが、その基準は①で定めたビジョンと連携したものにしましょう。

以下に、熱意と柔軟性を引き出す質問例を挙げます。

  • 熱意を引き出す質問:「この訪問看護事業所開設になぜ参加したいのですか?」と尋ね、応募者の内面的動機を探ります。
  • 挑戦への意欲を確かめる質問:「事業所開設において、最も挑戦的だと感じる点は何ですか?」と質問し、応募者の挑戦心を測ります。
  • 柔軟性を確認する質問:「営業や事務作業への積極的な取り組みができますか?」「未経験の業務にも積極的にチャレンジできますか?」といったケア提供だけではなく、付随業務にも取り組める柔軟性を確認します。
  • 問題解決能力を確認する質問:「訪問先で利用者さんが既に亡くなっている状況に遭遇したときの対応は?」「利用者にセクハラを受けた際の対処法は?」など、具体的な状況設定を提示し、応募者の問題解決能力を探ります。ここで大切なのは、一つの正解を求めるのではなく、応募者がどのように自分の考えを形成し、伝えることができるかに焦点を当てることです。

これらの質問を通じて、応募者の熱意や柔軟性等を見極め、オープニングスタッフとしての適合性を判断します。

今回の記事では、オープニングスタッフ採用の成功のためのステップについて詳しく解説しました。
訪問看護の開業を考えている方々に、この情報が役立つことを願っています。

Footageの経営支援事業部では、オープニングスタッフの採用に関する支援も行っています。
採用面接時に役立てていただけるチェックシートを経営支援事業部で作成しています。
今回、そのチェックシートを配布致します。
以下のリンクよりご確認いただけます。

コチラからアンケートにお答え頂くことで オープニングスタッフ面接チェックシートを送付させていただきます。