これから訪問看護事業所の開業を考えている皆さまへ、 オープニングスタッフの採用について丁寧に解説していきます。コチラからアンケートにお答え頂くことで オープニングスタッフ向けの研修プログラムを送付させていただきます。

1.オープニングスタッフ採用についての基礎知識

▪️オープニングスタッフとは

新しい事業や店舗を立ち上げる際、その初動を支えるのがオープニングスタッフです。
オープニングスタッフは、事業のスタートアップフェーズにおいて最前線で活動し、初期段階の成功へと導く重要な存在です。

多くの看護師やセラピストが、病院での就業経験しか持たないため、オープニングスタッフとしての経験はありません。
既に稼働中の施設での勤務経験など、一般的なスタッフとしての経験しか持ち合わせていません。
そのため、オープニングスタッフが持つ役割や重要性を十分に理解していないケースが多いのです。
このような看護師やセラピストの特性を踏まえると、オープニングスタッフの採用や育成へのアプローチが変わってくることは明らかです。採用面接の際、オープニングスタッフの意義や、それをサポートする体制についてきちんと説明することが重要です。
オープニングスタッフへのサポート、研修、また適切な評価は、新しい事業や店舗の成功の鍵となります。

▪️オープニングスタッフの役割と重要性

新たな事業や店舗の立ち上げ時には、オープニングスタッフの役割が非常に重要となります。
そのため、採用する際の経営側は、オープニングスタッフの役割とその重要性を深く理解し、適切なサポートを提供することが、事業や店舗の成功へと直結します。

チーム文化の基盤構築

オープニングスタッフは、事業計画作成時に設定された社会への価値提供や目標ビジョンを、メンバー同士で共有・擦り合わせることで、チーム全体の共通の価値観や文化を形成する役割を持ちます。

1965年に心理学者ブルース・W・タックマンによって提唱されたチームビルディングのタックマンモデルを基に考えると、チームのステージは「形成期」から始まります。
この形成期は、メンバー同士がチーム内の方針や依存関係を探る試行錯誤の時期です。
新しい組織でのコミュニケーションは、メンバー間でも知らない事が多いため、不安や緊張を伴いがちです。
そのため、メンバー同士の相互理解を深め、信頼関係の構築が重要となります。
心理的な安全性を確保するための文化作りが、チームの強固な基盤を築く鍵となります。

サービス提供基盤の構築

新しい事業や店舗はオープニングスタッフが「顔」として、サービスの基盤を築く重要な役割を担います。
初めて接する顧客やクライアントに対して信頼を得るために、サービスの価値を伝えていくことが重要です。
これにより、初めて社会にサービスを展開し、目指すビジョンの実現につなげることができます。

訪問看護事業の特性を考えると、地域包括的ケアシステムを通じての診察を担当する医師、社会資源の調整やアドバイスを提供するケアマネジャー、施設や在宅サービス、自治会との連携など、多方面との協力が不可欠です。
各職種が個別単体で動くのではなく、連携してチームとして動く必要があり、訪問看護師はその中心的役割を果たし、地域住民への総合的なサポート体制の実現を目指します。

訪問看護師の役割については、過去のコラムで掲載していますのでご確認ください。

訪問看護の役割と自律分散型組織の親和性について

上記のように、オープニングスタッフが果たす役割は非常に重要であり、任せる人材を選ぶ際には慎重な選考が必要です。
事業内容を十分に理解し、そのビジョンや目的を共有できる人材が求められます。
また、オープニングスタッフには多大なストレスやプレッシャーが伴うことが予想されるため、事業者は事業に巻き込んだ責任を忘れず、サポートを継続的に行う必要があります。
事業者自らも新しい事業や店舗の基盤づくりに関与し、オープニングスタッフと共に努力する姿勢が大切です。
事業者の関わり方次第で、事業の成功に大きく影響を与えるでしょう。

▪️オープニングスタッフに求められる資質

新しい事業や店舗の成功の鍵を握るオープニングスタッフ。
彼らには特別な資質が求められます。
ここでは、オープニングスタッフとして求められる資質について詳しく見ていきます。

適応能力

新規の事業や店舗立ち上げ時、事業としての経験値がないため、予測できないさまざまな事態に直面します。
法的問題や必要な物品の不足など、突如として起こる問題に柔軟に対応できる能力が求められます。
例えば、訪問看護事業において、病院のような設備は持ち合わせていないため、その場のものを利用してサービスを提供するような即座の判断や創意工夫が必要とされます。
例えば、急な点滴が必要となった際、病院では専用の点滴棒を使用することができますが、在宅の状況ではすぐにそういった備品を準備するのは難しいことがあります。そのため、カーテンレールやタンスの引き出し、ハンガーなど、家にある物品を工夫して点滴を行う際に利用することが考えられます。

問題解決能力

新しい事業や店舗を運営する中で、短期間にさまざまな問題が生じることは避けられません。
これには、提供するサービスの問題だけでなく、顧客、チーム内、また経営陣との関係性の問題も含まれます。
これらの問題を単に無視したり、先延ばしにしたりすると、一時的には解決したように見えても、信頼関係の築き上げができず、長期的には事業の継続が困難になる可能性が高まります。
問題は「自分たちにとっての成長の機会」として前向きに取り組むことが求められ、その問題の根底にある原因を深く探ることが重要です。さらに、その原因の多くは関係者の考え方や価値観、深層心理に関連しているため、安心して意見や感情を共有できる環境の整備や、真摯なコミュニケーションが必要です。

コミュニケーション能力

オープニングスタッフとしての役割には、チームの文化やサービスの基盤を築くことが求められます。
そのためのコミュニケーション能力は必須です。
ただし、人を引きつけたり、明るい気持ちにさせる才能だけが求められるわけではありません。
重要なのは「自分の考えや意見を率直に表現できること」です。
相手に信頼されるためには、自分を知ってもらうことが最初のステップとなります。
特に、訪問看護事業のように人との関わりが中心となる事業では、自分自身を理解してもらうことが信頼の構築に繋がります。

高い熱意とやり遂げる力

オープニングの際には、予想以上の難しい状況に直面することは多いです。
「こんなに難しいとは思わなかった。」「期待した成果が得られない。」といった感情になることも珍しくはありません。
そんな時、事業への高い情熱や明確な目的意識が継続的なモチベーションとなります。
さらに、その事業を通じて関わる多くの人たちの期待や信頼を背負っているという自覚が必要です。
そして、始めたことを最後まで成し遂げる決意が大切となります。

2.オープニングスタッフの採用基礎知識に関するまとめ

この記事では、オープニングスタッフの採用に関する基本的な知識を解説してきました。
オープニングスタッフは非常に重要な役割を果たすため、上記で挙げた資質を持つことが望ましいとされます。
しかし、すべての資質を兼ね備えた人材は珍しいのが現実です。
完璧な人材を待つのではなく、事業者自身がこれらの資質を重視し、オープニングに熱意を持ったスタッフを大切にすること。
また、事業者も一緒に事業の基盤を築く姿勢が何よりも重要です。

訪問看護の開業を考えている方々に、この情報が役立つことを願っています。

Footageの経営支援事業部では、事業所開設時にオープニングスタッフ向けの研修を行っています。
研修では、オープニングスタッフの役割や重要性を学習するようなプログラムを進めていきます。
下記リンクから研修プログラムをご確認いただけます。

コチラからアンケートにお答え頂くことで オープニングスタッフ向けの研修プログラムを送付させていただきます。