結論サマリー
- 訪問看護の24時間対応体制とは、夜間・休日を問わず電話相談や緊急訪問に対応する仕組みです
- 夜間の不安な症状や突然の変化にも、看護師が電話で判断し、必要であれば自宅に駆けつけます
- 費用は「24時間対応体制加算」として月額約6,500円(介護保険の場合)が加算されますが、1割負担なら約650円程度です
- 電話一本で多くの不安が解消できるケースも多く、「とりあえず電話してみる」ことが在宅療養を続ける大きな支えになります
「夜が不安」――在宅療養で最も多い声
「訪問看護を使いたいけれど、夜に何かあったときが心配で……」
在宅療養を検討されているご家族から、最もよく聞かれるのがこの言葉です。病院であれば24時間ナースステーションがあり、何かあればすぐに看護師や医師を呼べます。しかし自宅では、夜中に熱が上がってきたとき、呼吸が苦しそうに見えるとき、傷口の状態が気になるとき、誰に頼ればいいのか――そんな不安が、在宅療養への踏み出しを躊躇させてしまうことがあります。
この記事では、訪問看護が整えている「24時間対応体制」の実際について、わかりやすくご説明します。夜間にどんな相談が多いのか、実際に緊急訪問になるのはどんなケースか、費用はどのくらいかかるのかも含めて、ご家族の「夜が不安」に寄り添いながらお伝えしていきます。
訪問看護の24時間対応体制とは
「営業時間外でも繋がれる」ということ
訪問看護は、通常は平日の日中に看護師がご自宅を訪問するサービスです。しかし多くの訪問看護ステーションでは、それに加えて「24時間対応体制」を整えています。これは、夜間・早朝・休日であっても、電話で相談できる窓口を常時確保し、必要に応じて看護師が緊急訪問できる体制です。
「夜中に熱が38.5度になってしまった」「朝4時に呼吸が荒くなってきた気がする」――そんなとき、まず電話をかけられる先があるというだけで、ご家族の安心感はまったく違います。
24時間対応には2つの柱がある
24時間対応体制には、大きく分けて2つの役割があります。
① 電話による相談・判断対応
夜間でも看護師が電話に出て、状況を聞き取り、今すぐ救急車を呼ぶべきか、様子を見てよいか、次の定期訪問まで待てるかを一緒に判断します。多くのケースでは、この電話対応だけで不安が解消されることも少なくありません。
② 緊急訪問
電話での判断で「これは看護師が直接確認する必要がある」と判断された場合、夜間でも看護師が自宅に駆けつけます。緊急訪問は電話相談の延長として行われるものであり、「連絡してから来てもらう」という流れが基本です。
夜間に多い相談内容――こんな「夜の困った」が寄せられます
よくある夜間電話の具体例
実際に夜間に訪問看護ステーションへかかってくる電話には、どのような内容があるのでしょうか。よく見られるケースをいくつかご紹介します。
発熱・体温の変化
「夜9時ごろから熱が出てきた。38度を超えているが、解熱剤を飲ませてよいか」「朝方に37.8度になったが、今の状態で水分は取れているか」――発熱に関する相談は夜間に特に多く寄せられます。看護師は電話でバイタルの状況や他の症状を聞き取り、対処法を伝えたり、かかりつけ医への連絡が必要かどうかを一緒に考えます。
呼吸の変化・息苦しさ
「寝ているのに呼吸が浅い気がする」「いつもより呼吸回数が多い」――呼吸に関する変化は、ご家族が最も心配になりやすい症状のひとつです。酸素を使用している方であれば機器の確認を含めて対応することもあります。
傷口・カテーテル・ストーマなどの処置に関すること
「夜中に胃ろうの周りが赤くなっている気がする」「尿カテーテルから尿が出ていないような気がする」「ストーマのパウチが外れてしまった」――医療処置が必要な方のご家族から、こうした相談も多く寄せられます。すぐに対処が必要なものかどうか、電話で聞き取りながら判断します。
痛みや苦しさの訴え
「夜中に本人が痛いと言っている。いつもの痛み止めを飲んでいいか」「がんの疼痛が強くなっている気がする」――緩和ケアを受けている方の痛みのコントロールに関しても、夜間の電話相談は重要な役割を果たします。
転倒・転落
「夜中にトイレに行こうとして転んでしまった。頭を打ったかもしれない」――転倒後の観察ポイントや、どの症状があれば救急搬送が必要かなど、具体的な指示を電話で伝えることができます。
精神的な不安・パニック状態
「本人が夜中に急に怖いと言って泣いている」「認知症の家族が夜になると混乱して手が付けられない」――身体的な緊急性がない場合でも、ご本人やご家族が精神的に追い詰められているときに、「誰かに話せる」という体制があることは非常に大きな意味を持ちます。
「大したことないかも」でも遠慮しないでください
夜間に電話をためらってしまうご家族も多くいらっしゃいます。「こんなことで夜中に電話してもいいのか」「大げさかな」と感じてしまうのは当然のことです。しかし訪問看護師の立場からすると、「大したことないかも」と思いながらかけてきた電話が、実は早期対応が必要な状態だったというケースもあります。迷ったら、まず電話してください。それが24時間対応体制の本来の使い方です。
緊急訪問の実際の流れ――「来てもらうまで」のプロセス
ステップ1:まずは電話で状況を伝える
緊急訪問は、必ず電話相談から始まります。ステーションに電話をかけると、担当の看護師またはオンコール担当の看護師が対応します。以下のことを伝えられると、看護師が状況を把握しやすくなります。
- 現在の症状(熱、呼吸、意識など)
- いつから始まったか
- 普段との違い(いつもより重い、いつもとは違う感じがするなど)
- 直近のバイタル(体温・血圧・酸素飽和度など、測れる場合)
「うまく説明できるか心配」という方も多いですが、看護師から質問しながら情報を引き出しますので、ありのままに話していただければ大丈夫です。
ステップ2:電話で判断・対応方針を決める
看護師が状況を聞き取ったうえで、以下のような判断を行います。
- 電話での説明・様子観察で対応できる:具体的な対処法をお伝えし、一定時間後に状況確認の折り返しを行うこともあります
- 緊急訪問が必要:「これは直接確認した方がいい」と判断した場合、看護師が自宅に向かいます
- 救急搬送が必要:「今すぐ119番を」という判断を下すこともあります。その場合もできる限り電話でサポートを続けます
ステップ3:緊急訪問(必要な場合)
緊急訪問と判断された場合、担当看護師またはオンコール担当看護師が自宅に向かいます。到着までの時間はステーションの所在地や交通事情によって異なりますが、多くのステーションでは30分〜1時間以内を目安としています。訪問中は、バイタル確認・処置・ご家族への説明・主治医への報告などを行います。
緊急訪問の後も、連携が続きます
緊急訪問の後は、主治医への報告や、翌朝の定期訪問の調整なども行います。「緊急訪問で対応してもらったきり」ではなく、その後もチームとしての連携が続くのが訪問看護の特徴です。
電話相談だけで解決できること――実は「来てもらわなくても大丈夫」が多い
電話で解決できるケースの割合
夜間の電話相談のうち、実際に緊急訪問に至るケースは決して多数派ではありません。電話でのやり取りによって、「様子を見てよい」「この薬を飲んでいい」「こういう対処をしてみて」という判断が下され、そのまま朝を迎えられるケースがほとんどです。
つまり、24時間対応体制の価値の多くは「緊急訪問してもらえること」ではなく、「夜中でも看護師に話を聞いてもらえること」にあります。
電話相談で解決できる主な内容
- 解熱剤・痛み止めなど頓服薬を使ってよいかどうかの判断
- 傷口や皮膚の状態の確認方法(写真をLINEで送って確認できるステーションも)
- 機器(酸素濃縮器・輸液ポンプなど)のアラームへの対処
- 体位変換の方法や圧迫部位の確認
- 食事・水分補給に関するアドバイス
- 「これって救急車を呼ぶべき?」という判断の相談
「話すだけで落ち着いた」という声
在宅療養を支えるご家族にとって、夜間の不安は身体的な問題だけではありません。「誰かに話を聞いてもらえた」という安心感が、長い夜を乗り越える力になることも多くあります。夜間対応の電話口で「ありがとう、話してよかった」と言ってもらえることは、訪問看護師にとっても大切な瞬間です。
費用について――24時間対応体制加算とは
加算の仕組みと金額
訪問看護の24時間対応体制は、「24時間対応体制加算」という形で介護保険・医療保険の報酬制度の中に位置づけられています。
介護保険の場合(居宅サービス)
24時間対応体制加算は、1ヶ月あたり6,520円(2024年度介護報酬改定後の単位数ベース)が加算されます。自己負担割合が1割の方であれば、月額約650円程度の追加負担となります。2割負担の方は約1,300円、3割負担の方は約1,950円が目安です。
医療保険の場合
医療保険を使って訪問看護を受けている方(難病、がん末期など)の場合は、「24時間対応体制加算」に相当する加算として「緊急時訪問看護加算」が設定されており、月1回算定されます。
加算の算定要件
24時間対応体制加算を算定するためには、訪問看護ステーションが以下の要件を満たしている必要があります。
- 24時間連絡できる体制を整備していること(電話等による相談への対応)
- 計画的な訪問以外に、利用者またはその家族等の緊急の要請に基づく訪問看護が必要な場合に対応できる体制を整備していること
- 利用者またはその家族等に対して、連絡先の周知を行っていること
緊急訪問した場合の追加費用
夜間に実際に緊急訪問が行われた場合は、別途料金が発生することがあります。ただし、これはあくまで実際に緊急訪問が行われた場合の加算であり、電話相談のみで解決した場合には発生しません。
費用の詳細はご利用のステーションやご自身の保険・負担割合によって異なりますので、担当のケアマネジャーや訪問看護ステーションに確認することをお勧めします。
安心して在宅療養を続けるために――24時間対応体制を活かすコツ
緊急連絡先を「見える場所」に貼っておく
夜間に何か起きたとき、パニックになってしまうと電話番号がどこにあるかわからなくなることがあります。訪問看護ステーションの緊急連絡先を、電話機の横や冷蔵庫に貼っておくだけで、いざというときに落ち着いて行動できます。
「いつもと違う」を記録しておく
日ごろから、ご本人の様子(体温・血圧・食欲・睡眠など)を簡単にメモしておく習慣をつけると、夜間に電話したときに「いつもと比べてどうか」を伝えやすくなります。特別に細かく記録する必要はありません。「今日は昼から食欲がなかった」「昨日から少し元気がなかった」といった一言でも、看護師の判断に大きく役立ちます。
遠慮せず「迷ったら電話」を実践する
前述の通り、夜間に電話することへの遠慮が在宅療養の大きな障壁になることがあります。訪問看護ステーションの夜間対応は、利用者・ご家族のために設けられているものです。「こんなことで…」という遠慮は必要ありません。
担当看護師と日ごろからコミュニケーションを取る
定期訪問の際に、「夜中にこんなことが起きたらどうすればいいですか?」と事前に確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。「この症状が出たらすぐに電話して」「これくらいなら朝まで待てる」など、ご本人の状態に応じた具体的な目安を担当看護師に教えてもらいましょう。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 夜中に電話してもよい時間帯はありますか?
A. 24時間対応体制を整えているステーションであれば、深夜・早朝を含めた24時間、いつでも電話していただけます。「こんな時間に」と遠慮される必要はありません。夜間対応は、24時間対応体制加算としてきちんと費用の制度の中に位置づけられているサービスです。ご遠慮なくご連絡ください。
Q2. 夜間の電話対応は、普段担当してくれている看護師ですか?
A. ステーションによって異なります。担当看護師が夜間対応する場合もあれば、オンコール(当番制)で別の看護師が対応する場合もあります。後者の場合でも、電子カルテやケア記録を確認しながら対応するため、ご本人の状況を把握したうえで相談に乗ることができます。担当以外の看護師が対応することへの不安は自然なことですが、「初めての方でも同じように相談できる」体制が整っています。
Q3. 緊急訪問が必要かどうか、自分では判断できません。どうしたらよいですか?
A. 判断は看護師がしますので、「来てもらうべきかどうかわからない」という状態でも、迷わず電話してください。「こんな状態なんですが、どうしたらいいですか?」と正直に話していただければ、看護師が状況を聞き取りながら一緒に判断します。「来てもらうほどではないかも」と判断されたとしても、それはそれで大切な情報です。安心してかけてきてください。
Q4. 緊急訪問が来るまでの間、何をすればよいですか?
A. 看護師が電話口で「来るまでの間にしてほしいこと」を具体的にお伝えします。たとえば「横向きに寝かせてください」「酸素流量を上げてください」「そのまま安静にして、変化があればまた電話してください」などです。電話を切らずにそのまま話し続けることができる場合は、到着まで繋いでいることもあります。
Q5. 24時間対応体制加算は、希望しない場合は外せますか?
A. 加算の算定は、利用者・ご家族の同意に基づいて行われます。ご希望に応じて担当のケアマネジャーや訪問看護ステーションと相談することは可能です。ただし、夜間対応の安心を考えると、特に医療処置が必要な方・症状が安定していない方には、加算を活用することをお勧めします。
まとめ
訪問看護の24時間対応体制は、「夜が不安」を解消するための大切な仕組みです。
- 夜間でも電話一本で看護師に相談できる
- 必要と判断されれば緊急訪問も行われる
- 多くのケースは電話対応で解決できる
- 費用は介護保険1割負担で月650円程度の追加負担
在宅療養を続けるうえで、「夜中に何かあったら」という不安は誰もが持つものです。しかしその不安は、24時間対応の訪問看護ステーションと繋がることで、大きく和らげることができます。「病院でないと不安」という気持ちを持ちながらも在宅を希望されているご家族に、ぜひこの記事が届いてほしいと思っています。
夜間対応を含む訪問看護のご利用や、24時間体制についてのご不明な点は、どうぞお気軽にFootage訪問看護ステーションまでご相談ください。
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名古屋市・東海圏などで訪問看護・在宅ケアについてご相談をお考えの方は、ぜひFootageまでお気軽にお問い合わせください。
