【CVポートの取り扱いについて】

中心静脈ポートの穿刺・抜針をより安全に実施することを目的にステーション勉強会を開催しました。今回はテルモ株式会社の【塩島様】にお越しいただきました。
実際のキットを見せていただきながら、穿刺時に注意する点や色々な医療機器メーカーの商品の特徴など、わかりやすく解説していただきました。

勉強会でのひとコマ

塩さん:「皮下にポートを植込むことによって、毎回、血管に直接針を刺さずに、薬液を投与できるため、痛みや血管の損傷の軽減が期待できます。このようなメリットから、近年は、がん治療における外来化学療法や在宅での中心静脈栄養の普及により、植込み型のポートの使用機会も増加しています。しかし、一方で、植込み時の誤穿刺やカテーテルの閉塞、感染などのトラブルも増加し、より安全なシステムへのニーズも高まってきています。実際のキットがこちらです。どうぞ手にとってみてください。」

今さん:「へえ~❗️Sサイズだとこんなに小さいんですね。驚きです!!
塩さん:「そうなんですよ。どんどん小型化されて、今はSサイズもあるんです。」

今さん:「普段、訪問の現場で目にするCVポートとは、もちろん患者様の皮膚のその下に埋め込まれているわけですから、実際取り出した現物を見るチャンスはなかなか無いですもんね。」

↑この写真は抗がん剤の持続的投与や中心静脈栄養に用いられる植込み型薬液注入システム1「DewX」(デュークス)前胸部用のMタイプ(画面向かって右)。上腕・前腕部用のSタイプ(画面向かって左)。

塩さん:「実際に手にとって、比べてみてください。大きさの違いはこんなにあるんです。」
井さん:「15年前私が病棟で働いていた頃は、上腕に埋め込んでいる患者様はあまりお見かけしなかったです・・
どんどん改良されて小型化してるんですね〜。」
今さん:「Sサイズポートを小型化したことで、身体の小さな患者さんへの身体の侵襲も少なくQOL向上にもつながりますよね、すごいな〜。」
塩さん:「はい。耐久性においても技術が進歩していて、実際の医療現場でも支持していただいております。」

富さん:「でも実際に穿刺する時、上腕に入っている方ですとポートはSサイズになるため、穿刺の際に同じ箇所を刺さないようにするのはちょっと難しい面もあるかも・・・ですね。」

井さん:「そうですよね。実際は皮膚の上から探るので小さいサイズほど難しい。それから穿刺の角度も大事ですよね、穿刺の際にポートの縁に何度も当たってしまうケースでは劣化してしまうのが早いため耐久性の面でも心配。

塩さん:「おっしゃる通り。僕が以前担当していた病院様でも同じご意見をいただきまして、その時は実際に角度をつけた模擬皮膚模型を作って穿刺の練習をされていましたよ。
全員: 「なるほど〜!!」

ではいざ練習スタート。

ぷよぷよとした感触の模擬皮膚で全員穿刺の体験をさせていただきました。

塩さん:「どうですか?うまく刺さりましたか?」
今さん:「そうですねえ・・。練習だと、穿刺後に模擬皮膚ををめくって正しい位置に穿刺できたか確認できるので有難いです。」

井さん:「皮下脂肪が多い患者様の場合ちょっと難しいですよねえ」
塩さん:「そうですよね。おっしゃる通りです。皮下脂肪の多い患者様の場合、皮膚表面からセプタムまでの距離があり穿刺が難しい場合があるんです」

井さん:「それから、患者様のことを考えるとポートをできるだけ長く使えるようにするため、穿刺位置を毎回少しずつ変えた方がいいってことですよね?」

塩さん:「そうです。ヒューバ針の穿刺位置はセプタムを4分割するイメージで、その4つのエリアを毎回一つずつずらして1周するように穿刺していただくと良いと思います。」
井さん:「なるほど~4分割ですね。イメージしながら穿刺するのって大事ですね。」👍

CVポートのフラッシュについて

最後に、CVポートのフラッシュの重要性についてもお話しさせてください。これも結構、トラブルがあったり、ご質問いただくことが多いポイントなんですよ✋

塩さん:「しばらくお使いになっていない状態であっても、4週に1回は必ずヘパリンor生理食塩水でフラッシュをしてください。」
井さん:「現場では10ccシリンジを使うことが多いですが・・原則的にフラッシュは、どれくらいの容量で行うのが良いのでしょう?」
塩さん:「そうですよね。訪問看護の現場では、病院環境とは違い、その時その場で使用できるシリンジも限られてきますよね。2.5mlや5mlの小さなシリンジを使用すると、高い圧がかかりカテーテルの接続部が外れてしまったり、カテーテルが破損してしまう危険性が高くなります。」
フラッシュの容量ですが、薬剤注入後少なくとも10cc以上はヘパリンor生理食塩水をフラッシュしておくほうが良いでしょう。
逆血が見られた場合はフラッシュ20ccは入れておくほうがよいですね。」
今さん:「採血ができるタイプのCVポートの場合、何ml程度血液を回収してから採血するのが望ましいですか?」
塩さん:「そうですね、先端からセプタムまでの容量は最大で1ml。採血の際は2mlは逆血回収しておくのが良いと思われます。」
今さん:「なるほど。2mlなら患者様から必要以上に血を抜くということはないのですね。」

【ポンピングフラッシュ】

断続的に生理食塩水を注入して(少し押して止める、また少し押して止める、を繰り返す)カテーテル内の流れを良く内腔の物理的洗浄効果を高めるフラッシュ法です。

塩さん:「この効果については動画で確認しましょう。10ccのシリンジで行うのが適正で、ロック液を何回かに分けてリズミカルに注入してください。」
井さん:「ほんとだ!画面向かって左の方は、赤く染まった液がどんどん透明になってる」
富さん:「動画だとみるみる変化が~わかりやすいですね!」

動画がお見せできないのが残念ですが😅
陽圧をかけることにより、血管内からの血液に逆流を予防します。
井さん:「10ccよりも小さいシリンジだと、過剰な圧がかかってしまうから血管を痛めますよね・・」
今さん:「圧をかけ過ぎると、カテーテルが破損するおそれもあるしね」
塩さん:「そうなんです。ポンピングフラッシュをするのとしないのでは動画のように、これほどの違いが出てきます。映像として記憶していただければ印象も強く残りますよね」
富さん:「はい、とても印象強く残りました。実際の現場でも思い出しながら実施できますね」

CVポートの先端の形状について

薬剤注入後の注意点としてもうひとつ!!<CVポート先端の形状>を知っておくことも重要です。

CVカテーテルのタイプによってその取り扱い方が違うからです。カテーテルの先端の形状は大きく分けて2パターンあります。

先端が開放されている「オープンエンドタイプ」。

このタイプのポートは、カテーテル部分が通常の中心静脈カテーテルや静脈ルートと同じような構造になっており、無理矢理逆血確認をすると、閉塞や破損のリスクがあるので注意が必要です。そのため、このタイプを使用する場合はヘパリンロック実施が必須でした。最近では、ヘパリンコーティングされた製品もあり、生理食塩水でロックすることが可能になっているのだそうです。

次に、「グローションタイプ」があります。


最近増加傾向にあるのがこのタイプです。グローションタイプのポートは尿道カテーテルのように側溝があります。この側溝は穴が空いているのではなく、スリットになっているので、輸液や薬剤を投与した際にスリット部分が開き血管内に流出します。また、逆血確認をする場合も、スリットが開くためスムーズに行えます。何も操作していない時はスリットは閉じているため、血液が混入してくることもなく、生理食塩水のロックで大丈夫です。

〜終わりに〜
医療現場では次々と新しいデバイスが研究開発されています。今回のテルモさんのように、製造されている会社の専門員さんに直接お話を聞きながら、正しい使用方法を知り現場実践に活かすことはとても重要だと感じました。適切に使用しないと劣化を早める原因になったり、感染を起こしやすくなったりしますので、正しい手技で使用・管理することの大切さをチーム全体で再確認できた1日でした。
塩島さん本日はありがとうございました。💕