今回の記事に関しては、ご利用者様およびそのご家族様に同意を得てお写真等掲載させていただいております。
ご協力いただきましたこと深く感謝申し上げます。

 

訪問看護師の仕事をしているとたくさんの出会いがあり、別れもあります。
今回はお看取りのエピソードをお話しさせていただきます。

看取りのストーリー

利用者さん紹介

80歳代 男性 肺がん末期のAさん
病院で抗がん剤治療をしていましたが全身状態の低下あり、治療が中止となりました。
在宅で緩和療法を行なっていくために訪問診療・訪問看護が介入開始となりました。
2023年12月に初めてお会いし、いただいていた情報では余命2ヶ月と言われていました。

家族状況

奥様は腰も悪く、介護には消極的でした。奥様は施設に入って欲しいが、本人は家にいたい、と意見が違っていました。
娘様は、デイサービスやショートステイを利用しながら、できる限り家で過ごさせてあげたいと話されていました。

利用していたサービス

・デイサービス週3回
・訪問診療
・ケアマネージャー
・訪問リハビリ(理学療法士・言語聴覚士)
・福祉用具

看護師のケア内容

看護師はデイサービスに訪問する前の体調確認・更衣・マウスケアなどを行いました。デイサービスのない日は入浴介助をしたり、髭剃りや爪切り、室内リハビリテーション・屋外歩行などを行いました。
転倒時など緊急時の対応や、家族の精神フォローを行いました。

🌷ほっこりエピソード🌷

  1. 歩行器を使用して屋外歩行
    天気がいい日は近所を一緒に散歩しました。
    外の空気は気持ちいいな〜☺️とニコニコでした。
  2. デイサービスでのエピソード
    デイサービスではお花見に2回も行けました🌸
    12月時点では余命2ヶ月ということで、桜は見れないかも、と思っていました。
    Aさんも看護師に「山崎川の桜を見に行ったよ!よかったよ。」と笑顔で話されていました。
    デイサービスではクリスマスパーティでも参加できました🎄
    いつも「デイサービスの人に優しくしてもらえて支えてもらっているんだよなぁ。」と周りの人に感謝を述べていました。
    季節のイベントも楽しみながら、日々過ごしていました。
  3. 家族とのエピソード
    本人は元々恰幅よく、食欲も旺盛でした。3食もりもり食べており、看護師が訪問した時もよく朝ごはんを食べていました。言語聴覚士が介入しながら、お餅もいっぱい食べていました。
    家族と一緒に食卓を囲み、好きなものを好きなように食べてることができていました。
    家族には「食べ過ぎ!ダイエットしなさい!」と言われていました。本人は「がんの患者にダイエットしろって言うか〜?」と笑っていました。

ご自宅での最期

徐々に状態の悪化あり、自宅での転倒も多々ありました。
ADL低下し、経口摂取が難しくなってきて、最後をどこで過ごすかの話になりました。

本人「家族がいる家がいいな。」と話してくれました。

主治医・看護師とも話をして、ご家族様はいろんなサービスを使用しながら自宅で看取ることを決めました。

ケアマネージャーさんにも区分変更など調整していただき、介護ベットを素早く手配していただきました。

点滴・吸引が必要な状態になり、訪問看護師は2回/日訪問になりました。訪問診療の先生も頻繁に診察に来てくれて、疼痛に対しては医療用麻薬が導入されました。

経口摂取が難しくても、娘様が唇に蜂蜜を塗って、それを本人がペロリと舐めたり味を楽しんでいました。
嗄声が出現しうまく声が出せなくても、ペットのわんちゃんに手を伸ばして微笑むこともありました。

奥様と娘様と、Aさん介入から今までを振り返りながらお話する機会がありました。

娘さん「こんなに長くなるとは思ってなかったし、最初はどうしようかと思ってましたけど、皆さんのおかげでここまで来れました。本人も愚痴を吐けるのが看護師さんくらいしかいなかったので、本当に感謝していると思います。母の体調もそんなに良くないし、お母さんも悪くなったらFootageさんにお願いしようかって話をしてるんですよ。」と話してくれました。

奥さんも『将来今より悪くなるのはわかってるので、その時はよろしくお願いします。』と。
状態が不安定で、緊張する場面も多いですが、お2人共笑いながら話してくれました。

Aさんに最後の時が訪れました。
Aさんは先生の見立てよりも長く家族と過ごすことができました。
これまでの仕事のことや旅行先でのお話などたくさんの思い出をお聞かせいただいてありがとうございました。
Aさんの生きる力の強さもありますが、家族と過ごすことや好きなものを食べることで活力も湧いていたのかなと感じました。

最後に

自宅で最後まで過ごすことを迷うご家族も多いと思います。
「病院の方が安心なんじゃないか」「辛いところを見るのではないか」「自分たちにできるんだろうか」ご家族の葛藤・気持ちの揺れもあります。いろんなサービスを利用しながらAさんは最後まで住み慣れた家で家族に囲まれながら過ごすことができました。

訪問ヘルパーや訪問看護、福祉用具など在宅サービスは充実してきています。

私たちはこれからも家で過ごす利用者様とご家族様の少しでも支えになれるよう努力します。最後の時間が少しでも穏やかで温かいものでありますように🤲