こんにちは!守山店の中島です。

訪問看護をしていて、よく相談される利用者様の状態として“むくみ”ってありませんか?
日々“むくみ”を見ていても、詳しいところまでは答えられなかったりしませんか?
今回浮腫について学び直しをしたので、参考までにご覧いただけたら幸いです☺️

浮腫(edema)とは

組織間液の増加→主に皮下に貯留する体液(アルブミンなども含む)が過剰に増加した状態のこと

浮腫の原因

①静水圧(=塩水の量と圧)の上昇、②膠質浸透圧の低下、③血管透過性の亢進、および④間質側の異常・リンパ灌流の障害、⑤組織コンプライアンスの低下(組織間隙を覆う皮膚組織の硬さ)などにより浮腫が生じます。
浮腫にはその分布から全身性浮腫(全身性疾患により全身に生じる浮腫)と局所性浮腫(局所の疾患・病変によって生じる浮腫)があります。
①静水圧の上昇:心疾患(心不全など)、腎不全
②膠質浸透圧低下:腎疾患(ネフローゼ症候群、糸球体腎炎など)、肝疾患(肝硬変、バッド・キアリ症候群など)、蛋白漏出性胃腸症、バセドウ病、Cushing症候群など、薬剤性(甘草、エストロゲン、チアゾリジン誘導体、Ca拮抗薬など)、廃用性

浮腫の判定の仕方

浮腫は「つまみ上げ」と「圧迫痕の有無」で判定します。
皮膚は通常容易につまみ上げることができますが、浮腫が生じると皮下に液体が貯留してつまみ上げにくくなります。
圧迫痕は、少なくとも5秒以上(10秒程度)指で圧迫した後に観察します。
圧迫痕が残る場合は「圧痕性浮腫」(pitting edema)、圧迫痕が残らない場合は「非圧痕性浮腫」(non-pitting edema)といいます。
「圧痕性浮腫」(pitting edema)→水分のみが間質に貯留しているため、圧痕が残ります
圧痕性浮腫は圧痕の戻る速度によって2種類に分類され、それぞれ原因疾患が推測できます
・fast edema(圧痕の戻りが40秒以内)→低アルブミン血症
・slow edema(圧痕の戻りが40秒を超える)→心不全・腎不全など
「非圧痕性浮腫」(non-pitting edema)→水分とともにムコ多糖類やタンパク質などの血漿由来物質の蓄積や炎症細胞の浸潤のため、圧痕が極めて速やかに戻ります 例:甲状腺機能低下症

浮腫は、重力の負荷がかかる部位(下腿・長期臥床では背面など)にみられることが多く、その存在部位から原因を推定します。

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血液の、アルブミンを主とする膠質によってつくられる膠質浸透圧が低いほど、また血管内の静水圧が高いほど、血管外の組織への体液の移動が生じやすいとされています(Starlingの法則)。

Starlingの法則

J=LpS[(Pc-Pi)-σ(πc-πi)]

J:血管外に出ていく水分の量
LpS:毛細血管における水の透過性
P:静水圧(=塩水の量と圧)
π:膠質浸透圧
cは血管内、iは間質を表す。
σ:アルブミンの毛細血管膜の透過しづらさ(反射係数)
→タンパク質が毛細血管膜をどれだけ透過できないかという数値

脳の毛細血管の反射係数σは1.0=脳ではタンパク質は血管を透過しない
肝臓の毛細血管の反射係数σは0.0=肝臓はタンパク質の合成工場。合成したタンパク質を血中に拡散し全身へ輸送する必要があるため
=組織によって浮腫みやすさに違いがあり、間質は低い値であるため水分が貯留します。逆に言えば間質は水分を貯留するために必要な貯蔵庫とも言えます。

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原因の検索と治療が基本ですが、対症療法として実践できるものを紹介します。

対症療法

●安静:安静臥床により、間質内から血管内への水分移動が促進されるので、循環血漿量が増加、腎血流も増加し、利尿効果による浮腫の軽減が期待できます。また、心臓との高低差によって生じる静水圧を低下させる体位(10cm程度の下肢挙上や臥位など)によっても浮腫の軽減を図ることができます。
●運動:静脈灌流やリンパ還流の低下によって生じた浮腫に対しては、患肢挙上に加えて筋肉運動(筋ポンプ作用と静脈弁の併用)を行うことにより静脈圧を低下させることで、浮腫の軽減が期待できます。
廃用性浮腫でも、筋ポンプ作用の低下が浮腫の一因でもあることから、自動または他動的な筋肉運動を勧めます。
●塩分・水分制限:体内では水分はNaと一緒に動くため、塩分制限をすると貯留する水分が減少します。

少し難しい内容もあるかと思いますが、普段の訪問のお役に立てれば嬉しいと思います😊
今回のブログの参考文献も載せておきますので、もっと詳しく知りたい方は読んでみてください☺️

参考文献一覧
jmed mook 27 患者さんのむくみ、ちゃんと診ていますか? 背景疾患をしっかり見抜こう 松尾 汎
本当に使える症候学の話をしよう とことんわかる病態のクリニカルロジック 高橋 良
循環とは何か? 虜になる循環の生理学 中村 謙介
カラー図解 人体の正常構造と機能 Ⅱ 循環器 大谷 修、堀尾 嘉幸、千田 隆夫
明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則 川上 大裕